「なるほど、それで7時に皆で頂きますですか」
「自分には経験がなかったもので... きっと家族というものは皆で楽しく夕飯食べながら...これが幸せなんだって思ったんです」
家族の幸せというものがどんなものか知らなかった彼は、両親からもらえなかったモノの中に“家族の幸せ”があるんだと思いました。
休日は家族と一緒... 皆で旅行に行ったり... 遊園地に出かけたり... 本当に彼は頑張りました。
仲のイイ家族、幸せな家族を作るために一所懸命頑張ったのです。
彼が両親からもらえなかったモノを子供達に与えてきたの です。
「子供達が喜ぶと思ってやっていたんですが、喜ぶどころか鬱陶しいって言われる始末です」
「毎週、毎週じゃ子供達も友達と遊ぶヒマがないんじゃないですか?」
「はい、そう言われます。ですから休日に一緒にどこかへ出かけるっていうのはひかえています。でも夕飯は一緒に...」
「それだけは譲れないのですね(笑)」
「はい... そして子供達は離れていくばかりなのです」
昨日も7時の夕飯に遅 れた娘を叩いてしまって、奥さんからも下の息子さんからも白い目で見られ、 娘さんは泣いてるし、最悪で最低の“頂きます”だったそうです。
「家族がうまく行かないのも私が施設育ちだからでしょうか?」
「どうしてそう思うのですか?」
「同じ施設を出た仲間達も家族のことで悩んでいる人が多いもので...」
「なるほど、それは自分が親に傷付いた分、子供に対して完璧な親にならなくてはいけないって思うからではないでしょうか?」
「確かにそんな感じがします」
和男さんも完璧な親に なるために頑張っています。
親からもらえなかっ たものを一所懸命子供に与えようとしています。
それはとてもイイことなのですが、ただその原動力が“親に対しての恨み”というものだったとしたらうまくはいきません。
そうなると加減がきかないのです。
やり過ぎてしまうのです。
イイことをしながらも同時に誰かを攻撃している... 片手で花束を持ちながらもう片手のピストルで誰かを打っているようなものです。
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