「今日はこれで終わり、これ以上はダメ。一番大切な人でないといやなの... 長谷川泰三32才、感情を扱う心理療法家、毎週大阪で講座を開いている心理学講師」
「えっ?」
「趣味は心斎橋のジャンカラで尾崎豊を熱唱すること。私は長谷川さんのこと知っているのに、あんたは私のこと何にも知らない(笑)」
「どうして知ってるんですか?」
「受講生っていっぱいいるからね〜」
「えっひょっとして受講生の方ですか?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。もし私が受講生だったらあんたはマヌケなセラピストって訳だ(笑)」
「・・・・・」
「じゃ切るね。ゆみこの名前で振り込みしておくから、毎週火曜の10時に電話するね。おやすみ」
時計の音... どこかで聞いたことのあるような...「カチッカチッ...」何の音だろう?
心の声?
それにしても『勘』のするどい子だ。まるでこっちが心理分析されているような感じがする。 いつものようにうまくいかない。
心のシャッターが絞まっている感じがする。
作り笑い... 無感情... うつ病でもなさそうだし、寂しさを語っているが心から語っているわけでもない。
「20才で死ぬ」ってどういうことだろう?
虚言でもなさそうだし...
今までにない感じの依頼者だ。
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