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2007年6月17日号

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親に売られた女の子の人生
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人は「嫁」、「姑」と聞くとどんなイメージを持つだろう。

おそらく、明るさとか暖かな雰囲気をイメージする人はそういないと思う。

どんなに時代が進化しても変わらないのが嫁姑の問題である。


当時、私は23歳。

出逢った人は、何百年も続く家系の本家の長男であった。

とはいえ、由緒正しい旧家であるという訳ではない。

元々は地方都市で手広く商売をしており、

徳川家よりお墨付きを賜ったこともあるという話は聞いているが、

知り合った頃には、すでに曽祖父、祖父二代に渡って財産を食いつぶし、

広大な土地も人手に渡り、残っていたのは何代もの先祖の眠る墓地のみであった。

姑はその家の長女として生まれている。

まだ僅かな土地は残っていたが裕福な生活はしていなかったという。

姑の人生を狂わせる出来事が起きたのは14歳の頃である。

祖父、父親の作った借金の為、芸者置屋に身売りされたのである。

姑の母親はというと、舅姑との確執と夫の素行、
そして借金に苦しみ34歳で失明という不幸にみまわれ

娘を助けるすべもなかったのである。

売られた娘の苦しみは無論のことだが、

売らなければならなかった母親の心の痛みは計り知れないものがあったであろう。

昔話として聞かされた私にでもその傷の深さはかなりのものであり、

何年経っても癒されるものではないのだと感じたのを覚えている。

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◆ 芸者になった女の子


さて、置屋に住み込んだ姑はといえば、

それまでしたことのない下働きに明け暮れ、

その後、日舞、三味線、長唄などの稽古もさせられ、

やがて、一人前の芸者として座敷に出るようになっていくのだが、

置屋を替わるごとに値段が跳ね上がり、

かなりの高額芸者になったにもかかわらず、

その生活が嫌で何度も置屋から逃げ出し、川に身を投げようとしたこともあった
という。


なかでも一番悲惨だったのは・・・

置屋に父親がやってきてはお金のムシンをし、

そのお金を女遊びとギャンブルに使っていたという事実である。


姑は怒り父親に絶縁を言い渡したとはいうが、そこは昔の人間である。

その数年後に死期を迎えた父親の看護をし、最後を見届けている。

私の夫となる人が生まれて間もない頃の話である。

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◆ 息子の誕生

姑は19歳の時なじみの客に見初められ、身請けされることとなる。

その人は無論、別に家庭を持っており、姑はお妾さんということになる。

その人は東京で食べ物を扱う店の経営者で、

週刊誌などにも取り上げられたことのある その道ではかなりの有名人であり。

その人の名付けた料理が、今も日本人に愛され独特の料理法で特許も取得
している。

その二人に間に生まれたのが私の夫となった人である。

夫は父親の血を受け継ぎやはり料理人になったのだが、跡継ぎになることは拒んだ。


夫は父より母をとったのである。


身請けされたとはいえ姑が、

旦那様から生活費として与えられていたのは僅かなお金だけで、

とても十分な暮らしが出来るモノではなかったという。

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◆ 女でひとつで・・・


姑と息子二人、そして全盲の母親。

4人の暮らしを維持する為に姑は必死に働き、

倹約に倹約を重ねとうとう都内の中心部に家を建ててしまうのである。

その強さたるもの、並みの人間には太刀打ちできるものではない。

「キツイ性格でなかったらやってこられなかった」とよく口にしていた。


「これほど苦労し辛酸を舐めた姑なら人の痛みも分かり、かなりの人格者であろう」

と知り合った頃の私は勝手に思い込み、

姑、大姑との同居生活に入ることに抵抗を持たなかったのである。

それよりも、

「こんなに苦労しながら、

ひたむきに生きてきたこの家族をこれからは私が守っていこう」と、

浅はかな思いを抱き、決意にも似た気持ちで三世代同居の道を選択したのである。


そのとき私は24歳。

「きっと幸せになれる。」

そう信じて新しい生活を歩み始めた私であった。

間もなくとんでもない地獄の日々が自分の身に降りかかってくるとも知らずに・・・


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